6月の終わり、女川町や気仙沼で漁業再開のニュースがあった。びっくりだ。あんなまだ、横倒しのマンションがそのまま横たわったりしている町なのに。
もちろんまだ、ごく一部の漁しか行えてはいないんだろう。でもすこしずつ、その土地の、そこにいる人々の誇りであるはずの活動が、営みが、取り戻されてゆくということは、なんて明るいニュースだろう。ペラペラの、カラフルなだけのライトではなく、そっと大切に静かにくべられたともし火のような、灯り。
しかし僕はふと考えて、躊躇してしまう。希望を見出し気持ちを明るくするタイミングを。
だって、失って、取り戻せていないものはまだあまりにも多い。倒壊したままの家々、町ごと無くなった町、そして、人。心は、希望と絶望のどっちに寄っているだろうか。笑顔と涙の、どちらに近いか。
テレビは、番組の起承転結として、あるいは公共性や視聴者の多様性を考慮して、明るい気持ちにさせて終わりにするものが多い気がする。もちろんむやみに気持ちを沈ませても益がないかもしれない。だけど、視聴者の気分を楽にさせて、楽観的な情報を広く提供して良いタイミングだろうか今は。希望の芽は吹き始める。けれどまだ黎明のようなほの暗さの中でだ。
僕達は、石巻から女川方面へ。
高台にある病院の駐車場から町を、町だった所を眺める。重機や大型トラック、自衛隊の車が行き交う。
それから三陸リアス式海岸沿いの曲がりくねった路。ぎざぎざの陸沿い、入り江ごとに小さな町が点在している。そのひとつひとつが、壊滅だ‥。きっと交通の便も悪くて復興作業も難航してるんだろう。
雄勝っていう町、知ってますか?申し訳ないことに僕は聞いた事もなく訪れて初めて知りました。甚大な被害を受けた、三陸海岸沿いの町のひとつ。建物の屋上に、バスがのってる。町ごと無くなった、という印象だ。
この町を先日、テレビ番組が取り上げていた。見たことのある景色。あのバスもそのまま。
ニュースでは、この町の漁業復活のために尽力する人々を描いていた。ボランティアダイバーが海底に沈んだ漁船を見つけ出し引き上げている!すごい!ダイバーたちは他に、海に引きずり込まれて沈んだ家々から、思い出の品などを見つけてくる。すごいなぁ。ダイビングができたら。重機が運転できたら。もっと人の役に立てるのに‥。
車は雄勝を過ぎ、通行止めになった橋を迂回して南三陸方面へ。
途中、そういえばもう夕方なのに昼食をとってないことを思い出す。コンビニでおにぎりを買って、時計を気にしながら南三陸へ。実は今日の宿がまだ取れてないので、仙台に戻ったらカプセルホテルを探さなきゃいけないのだ。主要駅付近の宿泊施設は、復興作業関連企業の人たちで一杯らしい。
気仙沼まではいけないけど、せめて南三陸町はと、車を飛ばす。
閉鎖された病院。巨大な蠅。これから気温が高くなるにしたがって、衛生環境は劣悪になっていくんだろう。山のような、ではなくまさに山の、瓦礫。先日訪れた福島の集積所と違い、分別なんてまったくできてない。これからやっていくんだろうか。人の手で。
帰路につく。
仙台駅付近へ。賑やかな繁華街。元気なお土産屋。大勢の人々が行きかう新幹線乗り場。空きのないホテル‥。まあ今日はくたくたに疲れたから、カプセルとかサウナでもよく寝れるだろう。
せっかくなので、牛タンを食べよう。駅前商店街に見つけた、地下の牛タン屋さん。僕らを一目見て、ボランティアだと解かったみたい。
「今さっきも大きい余震あったね~。カバンこっちおいていいよ!」と店のおじさん。座敷席に案内してくれた。
靴を脱ぐ。底に、被災地のドロがついた靴を。
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